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イギリスのアーサー・トンプソンは、1911〔明治四四)年に出版した『1週間の日本』の中で、スコ

ットランドの運河と湖の風景を比較しながら、瀬戸内海の船上の興奮を次のとおり伝える。

「神戸から長崎への二日間の航海は、おそらく世界でもっとも素晴らしい船の旅である。

私はカレドニア運河はすぐれていると思っていたし、カトリン湖もこの上なくみごとだと思っていた。

だが、今後秀でた水の風景について語るとすれば、日本の瀬戸内海の風景を引用するだろう。

瀬戸内海は、日本の中心となる島と次に大きい二つの島を分けている。

そこは、幅が一二〇マイルの所もあれば、一マイルに達しない所もある。

不規則な海岸線をもつ小さな島々が散在し、小さな湾や大きな湾や入江が深くいりくんでいる。

それは十月のやわらいだある日のことだった。

昼食の後いつものように甘い眠りにうとうとしていると、

突然、外を眺めていた幾人かの乗客の賛嘆の声におこされた。

そして二分後には、あらゆるデッキチェアーから人々が立ちあがり、

ふだんは寄りつかない船首に興奮した人々が群がり、魅惑的な多島海の印象をおさめようと、

あらゆるカメラのシャッターがきられた。」


百年前の欧米人の「風景観」について、知りたくなる文章です。

蒸気船で航海する当時の旅の様子が伝わってきます。