はじめに
知人が島を舞台にくりなす人間模様を縦軸に、恋模様を横軸に小説を紡ぎました。
「瀬戸の島から」という名のついたブログから発信するのに、「ふさわしい」と思えます。
短編集なので随時、掲載していこうと思います。
お読みいただければ、「ますます小豆島が好きになっていただけるのでは」という期待もあります。
最後に、お断りをしておきます。m(_ _)m
決して私の作品ではありません。
だから、コメントをいただいても「返信」はできません。
作者に伝えることはできます。あしからず
第6話になりました。
「瀬戸の島から」という名のついたブログから発信するのに、「ふさわしい」と思えます。
短編集なので随時、掲載していこうと思います。
お読みいただければ、「ますます小豆島が好きになっていただけるのでは」という期待もあります。
最後に、お断りをしておきます。m(_ _)m
決して私の作品ではありません。
だから、コメントをいただいても「返信」はできません。
作者に伝えることはできます。あしからず
第6話になりました。
小豆島恋叙情 第6話 邂逅の石門洞 前編
鮠沢 満 作
草壁港から寒霞渓に向かう途中で道が大きく二手に分かれている。
左に行くと紅雲亭、右に行けば小豆島ブルーラインとなる。
その分かれ道の真ん中、猪の谷から雑木林へと分け入る一本の遊歩道がある。
そこを一人の男が先を急いでいた。
折しも紅葉真っ盛りである。
あと一週間もすればほとんどすべての木が裸になってしまう。
遊歩道の右側は深い渓谷で、息を飲むような切り立った岩が屏風状に連なっている。
遊歩道の出発地点から約三百メートルほど行ったところに簡易の展望所があるが、
そこから渓谷を見下ろすと、渓谷全体が燃えているように見える。

男の名前は永島昌文。年齢五十歳。
商社勤務のサラリーマン。
彼は年に一度遊歩道の先にある寺を訪れる。
昌文はリュックを背負って山道を達者な足取りで登っていた。
背負ったリュックは中にいろいろなものが入っているらしく、見た目にも結構重そうである。
昌文もご多分にもれず、やはり展望所のところにくると足を止めた。
彼は渓谷に目をやり、それからフーと大きく溜息に近い息をすると、
「もうあれから二十年か。早いもんだな」
と言った。
空はこの上なく晴れ上がり、かえってそれが昌文の気持ちを憂鬱にしたくらいだ。
ここを訪れるごと、昌文の気持ちも少しずつは軽くなっていった。
だが、それでも青春の記憶はそう簡単には癒されない。
いやむしろ癒されない方が、昌文にとってはある意味で幸せだったかもしれない。
気持ちが癒されないうちは、必ずここに帰ってくる。
そうすれば百合恵とのことをちゃんと心に刻んで、生涯忘れずにおれるからである。
昌文は意を決したようにリュックを担ぐと、再び歩き出した。
この遊歩道は裏八景と呼ばれ、紅雲亭から登る表十二景とは一本の稜線を境に反対側になる。
ここを訪れるのは地元の人間か、昌文のように山歩きに詳しい人間だけである。
展望所から約十分ほどで小豆島霊場第十八番石門洞に着く。
この寺も小豆島霊場の特徴の一つとなっている岩場をくり抜いて造った山岳信仰の寺である。
ただここが他の霊場と異なるのは、他に類を見ないほど美しいモミジにある。

昌文は岩をくり抜いて造られた本堂に着くと、重いリュックを降ろした。
肩の辺りを軽く叩いたり指先で軽く揉みほぐしたりした。
それからリュックを開け線香を取り出すと、ライターで火を点け、線香立ての真ん中に据えた。
昌文は立ち上る線香の煙の向こうに遠いむかしを見ているようにしばしぼんやりと佇んでいたが、
ふと我に返ると敬虔な気持ちで両手を合わせた。
新しい香の匂いが本堂全体を満たし、これまでの香の匂いと混ざり合って、昌文の胸を苦しくさせた。
昌文が両手を合わせ目を閉じていると、住職が顔を出した。
「今年もやはり来ましたか」
「ええ。来ないと心が痛むんです」
昌文は低い声で懺悔するように言った。
「もう何年になりますかね」
「二十年です」
「もうそんなになりますか。時間が経つのは早いもんですね」
昌文は今年五十歳になった。
大手企業のエリートサラリーマンである。
毎日仕事に追われる日々。
しかし年に一度ここ小豆島に足を運んでくる。
「まだ独り身と見えますが」
「一度は結婚したんですが」
「やっぱり忘れることができませんか」
「ええ。それにこの年齢になりますと、もう今のままでもいいと思いましてね」
「人間の幸福とはいろいろな形でやってきます。
一口にどれがいいとは言えません。
自分が幸せと感じる心を持つことが幸せなんです。
しがらみの多い世の中にあって、まだお若いのにあなたのような人がいるとは、僧侶としても励みになります」
「一種の罪滅ぼしでしょうか」
「そう自分を責めるものではありません。
人間というのは、好きだからといって必ずしも一緒になれるというものでもありません。
運命というものもあります。
しかしあなたたちの場合、お互い心はつながっていますよ。
私にはそれがはっきり見えます。安心なさい」
それを聞いて昌文の心も少しは軽くなった。
「どうです。ここから眺めるモミジは」
「いつ来ても言葉を失います」
「彼女、確か百合恵さんとか言いましたね。彼女もモミジが大好きでしたね」
本堂左側はくり抜いた岩をそのまま残し、そこにガラス窓が入れてある。
ちょうど真下に境内があり、それを四方から大きなモミジが取り囲んで、
まるで寺全体がすっぽりモミジの手の中に収まった恰好になっているのである。
燃え立つモミジに抱かれた古刹。
そこに百合恵が眠っている。
かつて百合恵は昌文とここを訪れたのだ。
「石門洞へはもう行かれましたか」
「まだです。これから行きます」
「早く行ってあげなさい。あそこで百合恵さんが待っていますよ」
住職の言葉に昌文は頷いた。

昌文と付き合い始めて三年、婚約して半年後のこと、百合恵は体調不良を訴えた。
最初、右下腹部に張りと痛みと覚えたが、市販の薬を飲むとそれもすぐ治まった。
仕事も忙しかった上に、三ヶ月後に昌文との結婚式を控えており、結構ばたばた動き回っていたので、
疲労から来る一過性の腹痛だろうと軽く考えていた。
しかしある土曜日の午後、昌文と式場の打ち合せに行った帰り、差し込む痛みに下腹部を抱えて助手席にうずくまってしまった。
昌文は百合恵の尋常でない様子に、すぐ病院へと急いだ。
診療室に入ると、医者は即座に精密検査をすると言った。
百合恵が検査室に入って小一時間は経とうというのに、百合恵と医者はまだ帰ってこない。
昌文は不安になった。
看護師が、若いですから心配ないですよ、と優しく声を掛けてくれたが、百合恵の痛がりようはただ事ではなかった。
それを思うとやはり不安が残った。
二時間くらいしてようやく担当医に呼ばれた。
医者は昌文に座るように手で椅子を示し、それからレントゲン写真を光にかざして食い入るように眺めていた。
その表情から医者の言わんとすることが、なんとなく分かるような気がして怖くなった。
昌文はふと朝のことを思い出してしまった。
朝食を終え湯飲みに熱い茶を淹れた。
ところが湯飲み茶碗が、こともあろうに真っ二つに割れてしまったのである。
もうかれこれ一年くらい使っている萩焼の湯飲み茶碗で、分厚くそう簡単に割れる代物ではなかった。
それがぱっくり二つに割れたのである。
医者は、さてどう切り出したものか、思案しているようだった。
「先生、病気は……」
昌文の方が沈黙に耐えられなくなって、先に口を開いた。
若い医者はまだそれほど場数を踏んでいないらしく、あのですね、と言ったきり、その後の言葉が継げない。
「はっきり言ってください」
昌文がせかす恰好になった。
「まず初めに腹痛の原因なんですが」
と遠回しに話しを切り出した。
「これは難病の一つとされる子宮内膜症です。
簡単に言いますと、生理のときに子宮の粘膜から出血する病気です。
生理本来の出血とは違って、子宮の壁に穴が空いていて、そこから出血するのです。
だからその痛みは尋常なものではありません」
「難病と言いましたが、治療法はあるんでしょうか」
「残念ながら現在のところ完全なものはありませんが、効果的な薬はあります。
ただ副作用が強くてね。
あまり使いすぎると内臓疾患に罹ったり骨密度が失われたりします」
「じゃあ治療法がないと」
「一番いいのは妊娠することですね」
その医者はにこりともせずそう言った。
医学書を棒読みしているようにさえ聞こえる。
「妊娠?」
「そう。妊娠すると生理が止まる。つまり出血も止まるということです。
その間に病気が治癒すればいいのですが」
「その間に治癒ですか……はあ」
昌文は途方に暮れ、気の抜けた返事しかできなかった。
「ただですね、問題はそれだけじゃありません」
「それだけではない」
いったいどういうことなのだ。
「実は、患者さんはもっと深刻な問題を抱えているようです」
「何ですか」
「まだ断定はできないんですが、その可能性があるということです」
「その可能性?」
「至急大きな病院へ行って、再度精密検査を受けることをお勧めします。
一応紹介状は書いておきました。
まず間違いないと思いますが」
医者はここまで言って言葉を濁した。
断定して自分の立場を悪くしたくないのだろう。
「間違いないって、何がですか、先生」
昌文は食い下がった。
昌文はその後の医者との会話をよく覚えていない。
それから二日後、別の病院で再度精密検査を受け、子宮癌と診断された。
昌文は暗渠の淵に突き落とされた。
百合恵にとってもそうだが、昌文自身にしても死の宣告を受けたに等しかった。
百合恵にどう説明したらいいのだろう。
事実、昌文は百合恵のこっちまで染まりそうになる清らかな笑顔を見ると、
つい涙が出そうになって何度も病室を飛び出してしまった。
百合恵の左指にはめられた婚約指輪が痛々しかった。
未来のない婚約指輪。
百合恵はそのことを知らない。
左に行くと紅雲亭、右に行けば小豆島ブルーラインとなる。
その分かれ道の真ん中、猪の谷から雑木林へと分け入る一本の遊歩道がある。
そこを一人の男が先を急いでいた。
折しも紅葉真っ盛りである。
あと一週間もすればほとんどすべての木が裸になってしまう。
遊歩道の右側は深い渓谷で、息を飲むような切り立った岩が屏風状に連なっている。
遊歩道の出発地点から約三百メートルほど行ったところに簡易の展望所があるが、
そこから渓谷を見下ろすと、渓谷全体が燃えているように見える。

男の名前は永島昌文。年齢五十歳。
商社勤務のサラリーマン。
彼は年に一度遊歩道の先にある寺を訪れる。
昌文はリュックを背負って山道を達者な足取りで登っていた。
背負ったリュックは中にいろいろなものが入っているらしく、見た目にも結構重そうである。
昌文もご多分にもれず、やはり展望所のところにくると足を止めた。
彼は渓谷に目をやり、それからフーと大きく溜息に近い息をすると、
「もうあれから二十年か。早いもんだな」
と言った。
空はこの上なく晴れ上がり、かえってそれが昌文の気持ちを憂鬱にしたくらいだ。
ここを訪れるごと、昌文の気持ちも少しずつは軽くなっていった。
だが、それでも青春の記憶はそう簡単には癒されない。
いやむしろ癒されない方が、昌文にとってはある意味で幸せだったかもしれない。
気持ちが癒されないうちは、必ずここに帰ってくる。
そうすれば百合恵とのことをちゃんと心に刻んで、生涯忘れずにおれるからである。
昌文は意を決したようにリュックを担ぐと、再び歩き出した。
この遊歩道は裏八景と呼ばれ、紅雲亭から登る表十二景とは一本の稜線を境に反対側になる。
ここを訪れるのは地元の人間か、昌文のように山歩きに詳しい人間だけである。
展望所から約十分ほどで小豆島霊場第十八番石門洞に着く。
この寺も小豆島霊場の特徴の一つとなっている岩場をくり抜いて造った山岳信仰の寺である。
ただここが他の霊場と異なるのは、他に類を見ないほど美しいモミジにある。

昌文は岩をくり抜いて造られた本堂に着くと、重いリュックを降ろした。
肩の辺りを軽く叩いたり指先で軽く揉みほぐしたりした。
それからリュックを開け線香を取り出すと、ライターで火を点け、線香立ての真ん中に据えた。
昌文は立ち上る線香の煙の向こうに遠いむかしを見ているようにしばしぼんやりと佇んでいたが、
ふと我に返ると敬虔な気持ちで両手を合わせた。
新しい香の匂いが本堂全体を満たし、これまでの香の匂いと混ざり合って、昌文の胸を苦しくさせた。
昌文が両手を合わせ目を閉じていると、住職が顔を出した。
「今年もやはり来ましたか」
「ええ。来ないと心が痛むんです」
昌文は低い声で懺悔するように言った。
「もう何年になりますかね」
「二十年です」
「もうそんなになりますか。時間が経つのは早いもんですね」
昌文は今年五十歳になった。
大手企業のエリートサラリーマンである。
毎日仕事に追われる日々。
しかし年に一度ここ小豆島に足を運んでくる。
「まだ独り身と見えますが」
「一度は結婚したんですが」
「やっぱり忘れることができませんか」
「ええ。それにこの年齢になりますと、もう今のままでもいいと思いましてね」
「人間の幸福とはいろいろな形でやってきます。
一口にどれがいいとは言えません。
自分が幸せと感じる心を持つことが幸せなんです。
しがらみの多い世の中にあって、まだお若いのにあなたのような人がいるとは、僧侶としても励みになります」
「一種の罪滅ぼしでしょうか」
「そう自分を責めるものではありません。
人間というのは、好きだからといって必ずしも一緒になれるというものでもありません。
運命というものもあります。
しかしあなたたちの場合、お互い心はつながっていますよ。
私にはそれがはっきり見えます。安心なさい」
それを聞いて昌文の心も少しは軽くなった。
「どうです。ここから眺めるモミジは」
「いつ来ても言葉を失います」
「彼女、確か百合恵さんとか言いましたね。彼女もモミジが大好きでしたね」
本堂左側はくり抜いた岩をそのまま残し、そこにガラス窓が入れてある。
ちょうど真下に境内があり、それを四方から大きなモミジが取り囲んで、
まるで寺全体がすっぽりモミジの手の中に収まった恰好になっているのである。
燃え立つモミジに抱かれた古刹。
そこに百合恵が眠っている。
かつて百合恵は昌文とここを訪れたのだ。
「石門洞へはもう行かれましたか」
「まだです。これから行きます」
「早く行ってあげなさい。あそこで百合恵さんが待っていますよ」
住職の言葉に昌文は頷いた。

昌文と付き合い始めて三年、婚約して半年後のこと、百合恵は体調不良を訴えた。
最初、右下腹部に張りと痛みと覚えたが、市販の薬を飲むとそれもすぐ治まった。
仕事も忙しかった上に、三ヶ月後に昌文との結婚式を控えており、結構ばたばた動き回っていたので、
疲労から来る一過性の腹痛だろうと軽く考えていた。
しかしある土曜日の午後、昌文と式場の打ち合せに行った帰り、差し込む痛みに下腹部を抱えて助手席にうずくまってしまった。
昌文は百合恵の尋常でない様子に、すぐ病院へと急いだ。
診療室に入ると、医者は即座に精密検査をすると言った。
百合恵が検査室に入って小一時間は経とうというのに、百合恵と医者はまだ帰ってこない。
昌文は不安になった。
看護師が、若いですから心配ないですよ、と優しく声を掛けてくれたが、百合恵の痛がりようはただ事ではなかった。
それを思うとやはり不安が残った。
二時間くらいしてようやく担当医に呼ばれた。
医者は昌文に座るように手で椅子を示し、それからレントゲン写真を光にかざして食い入るように眺めていた。
その表情から医者の言わんとすることが、なんとなく分かるような気がして怖くなった。
昌文はふと朝のことを思い出してしまった。
朝食を終え湯飲みに熱い茶を淹れた。
ところが湯飲み茶碗が、こともあろうに真っ二つに割れてしまったのである。
もうかれこれ一年くらい使っている萩焼の湯飲み茶碗で、分厚くそう簡単に割れる代物ではなかった。
それがぱっくり二つに割れたのである。
医者は、さてどう切り出したものか、思案しているようだった。
「先生、病気は……」
昌文の方が沈黙に耐えられなくなって、先に口を開いた。
若い医者はまだそれほど場数を踏んでいないらしく、あのですね、と言ったきり、その後の言葉が継げない。
「はっきり言ってください」
昌文がせかす恰好になった。
「まず初めに腹痛の原因なんですが」
と遠回しに話しを切り出した。
「これは難病の一つとされる子宮内膜症です。
簡単に言いますと、生理のときに子宮の粘膜から出血する病気です。
生理本来の出血とは違って、子宮の壁に穴が空いていて、そこから出血するのです。
だからその痛みは尋常なものではありません」
「難病と言いましたが、治療法はあるんでしょうか」
「残念ながら現在のところ完全なものはありませんが、効果的な薬はあります。
ただ副作用が強くてね。
あまり使いすぎると内臓疾患に罹ったり骨密度が失われたりします」
「じゃあ治療法がないと」
「一番いいのは妊娠することですね」
その医者はにこりともせずそう言った。
医学書を棒読みしているようにさえ聞こえる。
「妊娠?」
「そう。妊娠すると生理が止まる。つまり出血も止まるということです。
その間に病気が治癒すればいいのですが」
「その間に治癒ですか……はあ」
昌文は途方に暮れ、気の抜けた返事しかできなかった。
「ただですね、問題はそれだけじゃありません」
「それだけではない」
いったいどういうことなのだ。
「実は、患者さんはもっと深刻な問題を抱えているようです」
「何ですか」
「まだ断定はできないんですが、その可能性があるということです」
「その可能性?」
「至急大きな病院へ行って、再度精密検査を受けることをお勧めします。
一応紹介状は書いておきました。
まず間違いないと思いますが」
医者はここまで言って言葉を濁した。
断定して自分の立場を悪くしたくないのだろう。
「間違いないって、何がですか、先生」
昌文は食い下がった。
昌文はその後の医者との会話をよく覚えていない。
それから二日後、別の病院で再度精密検査を受け、子宮癌と診断された。
昌文は暗渠の淵に突き落とされた。
百合恵にとってもそうだが、昌文自身にしても死の宣告を受けたに等しかった。
百合恵にどう説明したらいいのだろう。
事実、昌文は百合恵のこっちまで染まりそうになる清らかな笑顔を見ると、
つい涙が出そうになって何度も病室を飛び出してしまった。
百合恵の左指にはめられた婚約指輪が痛々しかった。
未来のない婚約指輪。
百合恵はそのことを知らない。


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