浦集落を徘徊し、お寺の境内で備讃瀬戸航路を東に向かう舟をボケーと眺めて時を過ごす。しかし、帰りの舟の時間までは、まだ3時間ある。時間を自分で「活用」しなければならい。
別の視点からみれば時間に追いかけられることも、あすこにも行きたい、ここへも行きたいとか、ここの見学時間は15分で・・とかという制約はなくなる。そのためか心にゆったりとした時間が流れる。

高見島 浦の港
ここでボケーとするか、読書の時間にするか・・
島の北端の灯台に行ってみようという考えが浮かんできた。
男木島も本島も粟島も北に隠れたポイントがあった。高見島にも・・と期待して

高見島 浦集落の路地
そうとなれば行動ありき。さっそく浦集落から海へ下りていく。

下りたところが浦集落の両墓制の墓域。黙祷し南無阿弥陀仏・・。

島遍路の石仏に導かれて、燈台に続く舗装路を歩く。

塩飽諸島の広島
目の前には、塩飽諸島の広島。採石のために削られた山肌が至る所に見える。

北には手島・小手島も見えてきた。海岸には鵜が羽を広げて羽干しを行っている。

かつては、もう一つの集落がこのあたりにはあったらしい。
民家の跡は自然に帰り分からないが手入れされた墓石がいくつもならんでいた。神社も改修されている。

道があったのはここまで。かつての集落があった所まで。ここから道はない。海岸線を歩くしかないようだ。
ここまで40分程度。時間はたっぷりある。
石仏が「きおつけていきなはれ」と声をかけてくれたような・・

島の南側の様相とは少し変わってきた。
大きな石がゴロンゴロン。

歩きにくいゴロタ石の海岸の向こうに燈台が見えてきた。
右手の島は佐柳島。
高見島と佐柳島の間を備讃瀬戸航路を西行する舟が抜けていく。

かつて男木島灯台の袂に野宿したのを思い出し、この燈台が光を放つ姿を見てみたいと思うが・・それもかなうまい。
プレートには板持鼻燈台(昭和42年)と刻まれていた。

高見島の北燈台
西側から燈台を振り返る。
さて、ここまできたのなら島の西側を歩いて、一周することにしようか・・
時間も2時間近くあるし・・と考えた。そして、西側の海岸へと足を踏み入れた。

ところが景観が西と東では大きく違っていた。

高見島 西海岸
崖から崩れ落ちた岩が積み重なる岩場とゴロタ石の続く海岸が交互に現れる。
歩きづらいことこの上ない。時間がかかる。
これは舟に間に合うのかな・・・という不安までわき出していく。
先ほどまでの楽勝気分がしぼんでいく。

海岸に落ちていたのは・・・
焦り始めるといいことはない。
そんななかで岩の間に寝転がっていたのが・・・

島遍路の石仏が波の侵食で海岸に・・
この方。ミニ四国の石仏さんがこんなところに寝転がっていました。
「慌てない 急がない。このわたし見なはれ」と・・
波に浸食され、もとあった場所から落ちて荒波にもてあそばれ流され・・
石仏のたどってきた道を思うと・・舟に遅れることなんかたいしたことないように思えてきます。今を楽しみ充実させるために・・のんびりゆこうよと思い直します。

高見島西海岸
海岸の様相がまた変化します。岩牡蠣のカラをつけてタイルを張ったような岩たちがゴロンゴロンと転がります。

高見島西海岸
こちらは岩を敷き詰めたロックガーデン。
なにか自然の作り出したアートのようです。

高見島西海岸
こんなんはいかがでしょうか。
あなたの思いのままに掘ってください。
自然の贈り物ですと・・・。

高見島西海岸
こちらは釈迦三尊像の制作中。制作者は「波」。完成予定は未定です。

そんな海との「会話」を楽しみながら西海岸を南下します。
沖には、佐柳島を目指して定期船が進んでいきます。あの舟が引き返してきて高見島港に寄港します。それにできるなら間に合いますように・・

高見島 西のお堂
いのりが通じたのでしょうか。
西のお堂が見えてきました。
ここまでが120分。後、港までは30分でいけます。

高見島西のお堂からの佐柳島
歩いてきた北側方面を振り返って見ます。佐柳島と小島が見送ってくれます。
あの島までが香川県。その向こうの真鍋島は岡山県になります。
島が連なると言うことは海の中には山脈が連なっていると言うこと。峠を越える山風がキレットや風折れで強くなるように、島の間の瀬戸は流れがわき上がり海流が複雑になります。そのためこのあたりは「潮が涌く」→「塩飽」の島々と呼ばれてきました。その海を見守ってきたお堂です。

備讃瀬戸航路
備讃瀬戸航路を東に向かう舟の一番奥に見えるのが象頭山。金毘羅宮が山腹に鎮座する山です。北前船の水夫達は、行き交う舟の上から航海の安全を祈ったと伝えられます。
西向きのお堂からは瀬戸に沈む夕陽が美しいそうですが、そろそろ湊に向かいます。

佐柳から引き返してきた「新なぎさ2」が入港してきました。これに乗って多度津に帰ります。

島一周といういい思い出が作れたことに感謝。
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