秋の杖立峠を訪ねて
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穴吹の奥の内田集落の家屋を見て、さて次はどこへ向かおうか考えます。
この庭から見える綱付山から正善寺への稜線を見ていて、杖立峠に行ってみることにします。

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最後の集落である田之内を超えて車を走らせます。
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このあたりの道路は幅もありますし、カーブも適度なので快適な山岳ドライブが楽しめます。振り返ると、いま登ってきた渓谷が深くV字を刻んでいます。そして、田之内集落が、その向こうに見えているのは半平山の稜線でしょうか。

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30分足らずも走ると稜線が近くなってきました。
この地区は友内山、八面(やつら)山、綱付山、正善山、奥野々山、高越山など1,000m を超す高い山々で囲まれています。
かつて修験者達は、各地からこの山々を越えてを剣山をめざしました。口山の閑定滝前にある昭和3年(1928)建立の
「剣山道 是よりお山へ十里 龍光寺八里」
と刻まれた高さ3m、幅1.1m、厚さ40cm の道標や、
古宮の石尾(いしお)神社の鳥居横の
「剣山大権現 明治三十三年(1900)三月建之」
本殿横の「安政五午年(1858)三月吉日」
などに、かつての痕跡がうかがえます。
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稜線が明るく輝いてきました。峠に近づいたようです。
稜線上の広葉樹は、色づき秋の気配です
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林道の開通記念碑が建っています。
杖立峠1080m(つえたて)峠は、剣山への参拝道としてよく使われた峠です。
古老の話では、昔は先達さんに連れられて村の若者達の多くがこの峠を越えたそうです。その時に登りの時に使った杖を、この峠に刺し立てて木屋平へ下って行きました。そのためこの峠は「杖の森」とも「杖立峠」とも呼ばれていたといいます。
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この峠は、平成5年(1993)3月に完成した林道杖立線の工事で、昔の面影はなくなりました。ちいさな祠がかすかにその当時のことを伝えるだけです。
この峠は剣の前衛峰として西から東に、八面山 → 綱付山 → 杖立峠 → 正善山と連なる嶺峰が続きます。かつて、私もテントや寝袋の入った重いキスリングザックを背負って、この辺りを徘徊したことがあります。当時は、ここに車道はなく奥深い峠でした 
 
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 正善寺に向けての道標が立っています。
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林道もついているようです。この稜線沿いの林道を行けるところまで行って見ることにします。
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峠からの坂を登ると、林道工事で出た残土で埋め立てられた広場があります。植林された唐松が梁のような色づいた葉を落としています。
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林道は、稜線を傍若無人に切り開いて伸びていきます。
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そして、迎えてくれたのが彼女・・・・。
なにしきにきたんな あんた かえりな ここは私の領分で・・・
こちらをにらみつけて(?)逃げようとしません。
どうぞ通して下さいとお願いして通過・・・


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そして行き止まりは、集木作業場になっていました。
JP(ジャンクション・ピーク)まで林道は延びているのかもしれません。
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そして、開けた稜線から北側をのぞむと・・
剣山から天神丸を経て、雲早山に続く四国の背骨に当たる山々が東に伸びています。
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中尾山には「天使の階段」が架かっています。
天使が舞い降りてきているような光景です。
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あの嶺峰が白く染まるのもあとわずか・・・
晩秋から冬の気配を感じる杖立峠でした。
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