30年ぶりに芸北の恐羅漢に行く。
牛小屋高原のエコロジーキャンプ場で前泊。
ミズナラやアカマツの木立の中のキャンプ場を独り占めして気持ちの良い朝を迎える。
砥石郷との鞍部にあたる夏焼峠に向かってミズナラの林の中を歩く。
昨日の雨上がりの後で、沢からは水の流れる音があちこちから聞こえてくる。
所々にベンチやテラスが設置され、高低差も少ないため快適な森歩きができる。
次第にトチや沢ぐるみの巨木が混じるようになる。
小さな尾根を越えるとブナの子ども達が姿を見える。
かつて芸北ののブナの原生林は臥竜山を除いて、伐採された。
稜線沿いに残されたブナの母たちが飛ばした種子が広がり、再びブナの幼木が育ちつつある。40年以上の年月が経ち、ブナ林はよみがえりつつある。
ゆっくりと森を楽しみながら歩いて50分で夏焼峠。
真っ直ぐに行くと中の甲を経て奥匹見峡へと続く。
稜線を恐羅漢に向けて南に進む。
夏焼けの丘から台所原にかけての稜線で、ブナの巨木が迎えてくれる。
山葡萄の葉が赤く紅葉し、黒い実をつけている。
ナナカマドも赤い実をたわわにつけている。
今年の森は豊穣だ。豊かな実を求めて、北からやってきたばかりのツグミやシロハラが集まってくる。南に帰る夏鳥達も混じる。
双眼鏡を取り出して「鳥見」。さえずりがあちらこちらから聞こえてくる。
早手のキビレ付近では紅葉が盛りになっていた。
葉っぱを拾ってみるとハウチワカエデだ。
天狗がもっていた団扇の形に似ている。
同じ葉っぱでも色づきが異なる。不思議なものだ。
そして頂上直下へ。ここまでで約二時間が経っていた。
恐羅漢頂上へ
展望は360度と言うわけにはいかない。南や西方面は灌木で視界は開けない。
やはりこの山からの眺めは北方がいい。
掛図から臥竜の稜線のラインは美しい。
そして、なにより深入山のどっしりした山容とドーム状の山頭が愛らしい。
この日は、天候が不安定。山頂もあっという間にガスに包まれ視界が効かなくなった。
帰路は立山分岐からスキー場経由のルートをたどる。
紅葉が始まった木々の尾根を下ると・・・。
スキー場の最上部に出る。
立山ルートを直登してくるグループとすれ違い、ゲレンデをジグザクに走り下りる。
下りきったところにあるのが広大WV部の山小屋。
綺麗になっている。
牛が放牧されていた牛小屋高原。
そして開拓者達が入植し、戦後拓かれた場所。
そこはスキー場やキャンプ場となり、その痕跡を探すのは難しくなっています。
しかし、変わらないものはここにはたくさんありました。
私にとっては魅力的な場所の一つです。