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EXPOメッセ WASSE (西口ゲート近く)
大阪・関西万博の「EXPOメッセ WASSE」で香川県のブースが4月30日から5月3日まで置かれました。
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香川県ブース「せとのかけはし号」 ⑤の後部がステージ
「せとのかけはし号」という船の形をした会場内では、香川県の市町村が、伝統工芸や文化などの魅力を発信しています。その最終日に、綾子踊が、まんのう町を代表して出演することになりました。その参加報告をアップしておきます。日程は次の通り二泊三日でした。
 5月2日(金)
  19:00 佐文公民館出発
22:30 ホテル到着予定(淡路SA以後はノンストップ)
 5月3日(土) 
    8:30~ 着付け(ホテル内の会場)
11:00 ホテル出発
13:30 EXPOメッセにて公演(30分)
15:00 万博会場出発
16:00  夕食(ホテル内)
 5月4日(日)
 8:30 ホテル発 会場到着後は自由行動 
11:30   パソナ館 
  15:30    万博会場出発
  20:00  佐文帰着
 参加者39名     
今回の万博参加は、お呼ばれしたのではなく、どちらかというと「押しかけていった」といえる参加形態でした。そのためいろいろな「課題障害」に出会うことになりました。例えば、県外にお呼ばれして踊る場合は、立派なホールや会館が会場で、バスをすぐ近くまで寄せて、荷物の積み下ろしができます。また、着替え場所や控え室も確保されています。つまり、「演技者」としてリスペクトされて、それなりの待遇で遇していただけることが多いのです。しかし、万博はそうはいきません。道ばたや広場で踊るる「大道芸人」と立場は同じです。着替え場所も控え室もありません。

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ホテルで着替え中の小踊り
そこでホテルから着物に着替えて、小道具・大道具を持ってのバス移動となりました。しかも着替え終わって踊り始めるのは、約5時間後です。帯に締め付けられた小踊りの子ども達は、それだけで苦しそうです。
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観光バス駐車場から西ゲート入口までは、徒歩20分
 さらに貸切バス駐車場から西口ゲートまでの移動距離の長さに苦しめられます。観光バスの駐車場は、シャトルバスの駐車場の外側に配置されているので、駐車場をぐるりと廻って行かなければなりません。

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花笠を持って西側ゲートまで駐車場より移動開始
時間にして20分、1㎞は歩かなければなりませんでした。控え室がないのでないので荷物を少なくしたいので、草鞋ばきの人もいて、指の間に縄目が食い込んで痛そうです。

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西側ゲート万国旗の前を草履履きで会場目指してもくもくとあるく会長
踊り終わって還る時には、脚を引きずるような人もでてきました。高齢者の出演者に今回の思い出を聞くと「バスとEXPOメッセとの間の歩いての移動」という声が返ってきました。大きな組織やイベントは現場の判断での「融通」などを働かすことが出来ないので、現場ではいろいろな小さな問題が起こります。「出演者にやさしくない万博」と愚痴り会いながらスタッフ専用ゲートを目指します。
 到着して会場を下見します。この日も試食コーナーでは讃岐うどんの試食コーナーが開かれていて、多くの人で香川県ブースは賑わっていました。その後ろのコーナがステージとなります。教室の半分もない広さであることを確認して、立ち位置などを決めていきます。

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香川県ブース平面図


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渋滞を危惧して早く出発していましたが、それもなかったので1時間以上の待機時間です。着物に草履では、会場散策も出来ないのでリングの下のベンチで待ちます。

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出番前の待ち時間にも笑顔が溢れます

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芸司の大団扇 今回は会場が狭くて思う存分に振れなかったと残念がっていました。
13:30 隊列を組んで、露払いを先頭にしての入庭(いりは)です。ステージで隊列を整えます。

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最初に保存会長が口上(由来)を読み上げます。そして、大きな団扇をもった芸司のかけ声と共に地唄が歌われ、踊りが始まります。バックの壁には佐文の賀茂神社の光景が映し出されます。温かい演出に感謝。狭い会場ですが多くの人が見守っていただきました。まんのう町長や議長も応援に駆けつけてくれました。

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 中世の風流踊りには鳴り物として三味線がありません。笛や太鼓・鉦だけの単調な響きで、踊りのうごきも華やかさや雅さはありません。しかし、これがもともとの風流踊りの原型だと研究者は指摘します。この単調さの中に中世の響きがあると私は考えています。

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後ろのスクリーンには、佐文の賀茂神社が映し出されていました。

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踊りが終わるとインタヴューを受けて、そのでステージで記念写真を撮りました。そのあとは、再び歩いてバス駐車場を目指します。

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バスへの帰路
帰り道に、警備員や誘導員の方々が「お疲れ様でした」と声をかけてくれました。それがなぜか心に沁みました。結局、この日は万博見物はできませんでした。
 それでは可愛そうだというので、翌日に見学日を一日とっていただけました。しかし、連休後半の初日で予約がとれたのはパソナ館のみ。あとは、前日とは大違いで長蛇の行列でした。私はリングの上をゆっくると一周してみました。上から眺める景色は最高です。西には六甲の山脈と、その麓の神戸の街並みが見えます。南には明石海峡から伸びる淡路島。南には大阪湾が大きく開けます。東には金毘羅船なども目印とした天保山が見えます。この海が古代以来果たしてきた役割が、頭の中で走馬灯のように走り抜けて行きます。この日は五月晴れですが、海風が強く波頭が白く見え「兎跳ぶ海」の風情で、リング上を歩いていると肌寒く感じるほどでした。
 リングの内側は、各パビリオンでひしめき合っています。1970年の時のパビリオンと比べると個性がないように思えます。あの時代は「大きいことはいいことだ」という言葉に象徴されるように、「より高く、より早く、より遠く」にがパビリオンにも求められていたようで、資金の惜しまず高く大きな異彩の建物が林立していました。しかし、今回はリングが中世都市の城壁で、その内側の建物はリングよりも高いものはありません。高さ制限があるような感じです。形も資金節減が前面に出て枠組みをハリボテで囲んだようなものが多く、個性的なものも少ないように私には思えます。有名な建設家が競いあうという雰囲気はないように見えます。それでも私にとってはリングからながめるだけでも充分面白い物でした。2㎞というリングの上を90分ほどかけて歩くと、私はエネルギー切れです。並んで見学しようとする意欲は湧いてきません。私と同じ世代の出演者たちもも同じで、2時間前には集合場所に返ってきて、バスの駐車場へ向かいました。冷房の効いたバスで待つ方が楽のようです。集合場所でみんなが帰って来るのを待ちながら「マンウオッチング」をしていました。確かに、高齢者の姿は少ないようです。観光バスで団体で移動することの多い老人会とかは、移動のことを考えると躊躇すると思います。高齢者にはやさしくない会場なのかも知れません。  
 いろいろと書いてきましたが、万博で踊らせていただく機会を頂いたことに感謝します。ありがとうございました。
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次の公演予定は11月の文化の日に、サンポート小ホールです。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
なお使用写真は参加者から提供していただいたものです。

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https://www.youtube.com/watch?v=2jnnJV3pfE0