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  大川山の姫神
大川山は讃岐で2番目に高い山で、大川神社が祀られている。
雨乞いの神として知られているが、安産を祈願する神としても知られている。土器川下流の飯山町あたりからこの山を望む所にも祠が建てられ、信仰を集めている。大川の姫神は三つ子を産んだ神として知られており、その絵姿は三つ子を胸に抱いている姿となっている。

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ここではこんな話も伝えられている。
この大川神社の神官が山道を通っていると、山道で一人の女が苦しんでいる。
わけをたずねると子供を出産するとのことであった。
が、男はお産に立ち会うべきでないと見すてて、そこを通り過ぎようとした。
ところがあまりの苦しみようにふりかえり、自分の弁当行李をあけ食べ物を与えようとしたが、中はからであった。

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わずかに残った米粒を与え、たちまち元気をとりもどし、無事子供を出産した。
こうしたことでこの神社が安産の神として崇められるようになったという。
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中熊地区にある山熊神社の神様は、大川神社の神様と姉妹だという。
二人の美しい姫が仲良く手まりをついて遊んでいるのを見たという人もあり、ともに安産の神として知られている。
山熊さんの社殿に結びつけてあるたすきをもらって、腹帯と一緒に巻いておくとよい。
それで安産できると、二本のたすきにして返すのだという。
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また、社殿の左の玉垣をめぐらせている所に沢山の小石があるが、ここは神域で立ち入りを禁じている。
この石をいただいて帰ると、自分の思いがかなうと伝えている。
かつて戦争中、この小石を持って出征し、無事帰還した者もいるとか。
ところがその石をお返ししないと、石が鳴ったり腹痛を起こしたりするという。
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 四つ足地蔵
 明神から真鈴峠を越える旧道に、通行人が一休みする茶堂がある。
そこにはお地蔵さんがまつられている。
これを四つ足堂という。阿波十力寺参りや借耕牛の通る道で、かつてはにぎわっでいた。
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この地蔵を一名粉ひき地蔵とも言う。
この尊像の台座の石は川石であるが、四本の筋目が刻まれており、ひき臼に模しているようである。こんなところから粉ひき地蔵の名がついている。
高さ二尺くらいのものであるが、かつては大川山の神社と神事場の間にあったものが一夜のうちにころがり落ちてきたので、ここに祀ったと伝えられている。
ところが、この道が大川神社への山尾根であるため、ころげ落ちる所としてはふさわしぐないところから、力持ちの男が運んだとも伝えている。
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 また、茶堂のあたりはスモトリ坊がいて、小さい子供の姿となって、そこを通る人かあると、
「すもうををとらんか」と誘いをかける。
通行人は子供だとあなどってとりかかると、なかなか手強い相手だという妖怪であった。
ちょうどこのあたりはいくっかの谷の水が集まっている渕となっているため、川女郎も出て来るという。また節分の日には阿波の国からヤンギョウサンという首切馬が峠を越えてこの四つ足堂までやって来る。このようにこの四つ足堂のあたりは異霊の集まる場所であった。
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   飛鉢上人
 大川山の北西の谷に、中寺というところがある。
かつて修験の道場として七つの坊があったと伝え、その跡も発見されている。
この中寺に飛鉢の法を使う上人がいて、瀬戸内海を通る船をめがけて、鉢を飛ばして船をどこまでも追いかける。
船頭がその鉢に白米を入れると、再び帰ってくる。何も入れないとその鉢が燃え、火を吹きながらどこまでも船を追いかけて行く、という。屋島寺縁起に似た伝承も残っている。